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医学書院/週刊医学界新聞(第2837号 2009年07月06日)(2)

发布时间:  浏览: 次  作者:莫言

 スピロノラクトンという抗アルドステロン薬とプラセボを,重症心不全を対象に予後を比較したRALES研究という臨床試験があります()。その結果,スピロノラクトン群での生存率が良いことが報告され,抗アルドステロン薬は重症心不全の薬剤として認められました。この研究後,スピロノラクトンの処方は増え,RALES研究の前に比較すると3倍になりました(図1,)。

医学書院/週刊医学界新聞(第2837号 2009年07月06日)

 
図1 入院したACE阻害薬服用中の心不全患者におけるスピロノラクトンの処方率  
RALES研究の発表後,スピクロノラクトンの処方率は3倍になっていることがわかります。  

 ところが,なんと高カリウム血症による死亡も倍増したのです(図2)。もちろんカリウム保持性利尿薬を心不全標準薬であるACE阻害薬と併用するわけですからその危険性は予測できたわけですが,RALES試験でのカリウム上昇はわずか0.3mmol/Lに過ぎず,クレアチニン上昇も0.05-0.1mg/dL,重篤な高カリウム血症の発生は1.7%でした。プラセボ群でも1.2%あったので,絶対リスクの増加はわずか0.5%だったのです。

医学書院/週刊医学界新聞(第2837号 2009年07月06日)

 

医学書院/週刊医学界新聞(第2837号 2009年07月06日)

 
図2 (上)ACE阻害薬を服用している心不全患者における,高カリウム血症による入院患者の割合,(下)および高カリウム血症による入院中死亡率  
RALES研究の発表後,これらの割合が明らかに増加していることがわかります。  

 では,なぜ実際の診療では高カリウム血症が増加したのでしょうか? まず,RALES研究の患者の平均年齢は65歳であり,合併症が多く,腎機能も低下している高齢者があまり含まれていません。現実の診療を反映する心不全のコホート()では平均年齢は75歳を超え,腎機能も低下していることが予想されるので,高カリウム血症のリスクは高くなりますね。心不全に限らず多くの動脈硬化性疾患臨床試験では,やはり高齢者や女性,合併症を有する患者さんの割合が実際の診療とは異なることが多いようです。また,RALES試験ではループ利尿薬の使用が100%であることも影響した可能性があります。

 このようなリスクの高い患者への新薬(あるいは新たな対象疾患)の臨床試験では,安全性を確保するためにランダム化の前に,Placebo run-in periodを設けて薬剤の安全性を個々にチェックすることがあります。例えば,同じく心不全患者におけるβ遮断薬カルベジロールの臨床試験では,低用量のカルベジロールをこの期間に投与し,有害事象が発生するようであれば試験から除外しました()。これは全体の5.6%にもなりましたから,もしこの患者たちが試験に入っていたとすると,結果に影響するはずです。スピロノラクトンにしても,カルベジロールにしても,その疾患に関しては初めての臨床試験であったので,安全性への配慮は倫理的にも必須であり,このようなプロトコルは必要であったのです。また,医師が初めてカルベジロールを使用するときにこういった方法は参考になると思います。したがって,安全性を確保するためのプロトコル,選択除外基準はこの段階の試験では必要で,外的妥当性よりも重視すべきなのです。しかし,この結果を安全性も含めて多くの患者さんへ適用するには,別の研究が必要になります。次回はそのあたりを解説します。

(つづく)

参考文献
1)Stampfer MJ, et al. Postmenopausal estrogen therapy and cardiovascular disease.Ten‐year follow‐up from the nurses' health study. N Engl J Med 1991;325(11):756-62.
2)Pitt B, et al. The effect of spironolactone on morbidity and mortality in patients with severe heart failure. N Engl J Med 1999; 341(10):709-17.
3)Juurlink DN, et al. Rates of hyperkalemia after publication of the Randomized Aldactone Evaluation Study. N Engl J Med. 2004;351(6):543-51.
4)Packer M, et al. The effect of carvedilol on morbidity and mortality in patients with chronic heart failure. U.S. Carvedilol Heart Failure Study Group. N Engl J Med. 1996;334(21):1349-55.

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